【AIO】AIにブランド名が出ると、サイト訪問は増える? | キャスク
本記事は、Profoundが2026年7月1日に公開した 「The AI mention effect」 の調査結果をもとに、調査設計とAIO(AI最適化)への示唆を日本語で整理したものです。
(予測ベースライン比)
最初の公式サイト訪問
AI起点と判別できなかった訪問
「AI Mention Effect」とは
この記事でいう「AI Mention Effect(AI言及効果)」とは、AIの回答にブランド名が登場したことをきっかけに、その後のブランドサイト訪問が増える現象を指します。
重要なのは、ユーザーが最初からブランド名を入力したケースではない点です。Profoundは、ユーザーのプロンプトにはなかったブランドをAIが回答内で初めて提示したケースだけを「AI-exposure(AIによる露出)」として扱いました。すでにブランドを知っていて検索した行動をできる限り除き、AIが新しい選択肢としてブランドを紹介した後に何が起きたかを見ています。
調査はどう行われたのか
調査対象は、二重の同意を得た米国ユーザーによるプライバシー保護済みの行動パネルです。2026年1月から6月までの200万件超のAI会話と、それに対応するWeb閲覧履歴を分析しています。対象プラットフォームはChatGPT、Gemini、Google AI Overviewsの3つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象地域 | 米国 |
| 対象期間 | 2026年1月〜6月 |
| データ規模 | 200万件超のAI会話と、その後の閲覧行動 |
| 対象媒体 | ChatGPT / Gemini / Google AI Overviews |
| 成果指標 | AI言及後7日間に、同じユーザーが言及されたブランドの公式サイトを訪問した割合 |
ただし、AIで言及された後の訪問をすべてAIの効果とみなすと、もともと発生するはずだった訪問まで含めてしまいます。そこでProfoundは、同じユーザー・同じブランドについて、言及前に設けた3つの7日間の比較期間から、言及後に見込まれる訪問率を線形予測しました。その予測値と、実際の言及後7日間の訪問率との差を「上昇幅」としています。
- ユーザー自身がプロンプトにブランド名を入力していたケース
- 言及前の1週間に、そのブランドを検索または訪問していたケース
- 一般的な高トラフィックドメインや、共通プラットフォームのドメイン
結果:3媒体すべてで公式サイト訪問が増加
3つのAI媒体すべてで、ブランド言及後7日間の公式サイト訪問率は予測ベースラインを上回りました。媒体によって「相対的な伸び」と「実際の上昇幅」が異なる点も重要です。
| プラットフォーム | 言及後の訪問率 | 予測ベースライン | 上昇幅 |
|---|---|---|---|
| Gemini | 5.42% | 2.21% | +3.21ポイント |
| Google AI Overviews | 7.79% | 4.83% | +2.96ポイント |
| ChatGPT | 6.39% | 4.33% | +2.07ポイント |
出典:Profound「The AI mention effect」。95%信頼区間はGeminiが+2.34〜+4.08ポイント、Google AI Overviewsが+2.76〜+3.17ポイント、ChatGPTが+1.67〜+2.48ポイント。
Geminiは予測ベースライン2.21%に対して5.42%で、相対的には約2.5倍と最も大きく伸びました。一方、Google AI Overviewsは上昇幅が+2.96ポイントであることに加え、もともとの露出量が最大だったとされています。ChatGPTは相対的に約1.5倍で、後述する主要4業界のすべてでプラスの結果となりました。
「どのAIで言及されても同じ価値」と一括りにするのではなく、自社の業界ではどの媒体がサイト訪問につながりやすいかを見る必要があります。
業界によって効果の大きさは異なる
金融、リテール、ソフトウェア、通信の4業界では、すべての媒体・業界の組み合わせで訪問率が予測ベースラインを上回りました。ただし、伸び方には大きな差があります。
| 業界 | Google AI Overviews | ChatGPT | Gemini |
|---|---|---|---|
| 金融 | +3.7pt(+59%) | +3.8pt(+59%) | +5.7pt(+132%) |
| リテール | +3.5pt(+52%) | +2.6pt(+38%) | +5.6pt(+140%) |
| ソフトウェア | +4.0pt(+128%) | +3.0pt(+59%) | +3.6pt(+107%) |
| 通信 | +3.0pt(+137%) | +1.5pt(+85%) | +2.3pt(+71%) |
ptはパーセントポイント。括弧内は各媒体・業界の予測ベースラインに対する相対的な増加率です。
たとえば、絶対的な上昇幅が大きいのは金融×Geminiの+5.7ポイントですが、相対的な伸びが大きいのはリテール×Geminiの+140%です。AIOの目標や媒体ごとの優先順位を決める際は、パーセントポイントの増加と、ベースライン比の増加を混同しないことが大切です。
効果の多くは「次のクリック」では見えない
AIの言及後、最初の公式サイト訪問が起きるまでの時間を見ると、全媒体合計で20.5%が1時間以内、42.0%が24時間以内でした。裏返せば、最初の訪問の過半数は1日より後に起きています。
| プラットフォーム | 24時間以内に起きた最初の訪問 |
|---|---|
| Google AI Overviews | 45.7% |
| ChatGPT | 38.7% |
| Gemini | 30.0% |
ユーザーはAI回答を見た直後にリンクを押すとは限りません。ブランド名を覚えておき、数時間後や数日後に検索したり、URLを直接入力したりすることがあります。この行動は、アクセス解析上では自然検索やダイレクト流入として記録され、AIの貢献が見えなくなる可能性があります。
AIの価値を「AIから直接クリックされたセッション数」だけで判断すると、実際の影響を大幅に過小評価するおそれがあります。AI上の露出は、現時点では検索広告のクリックというより、後から指名行動を生む屋外広告や口コミに近い働きとして捉える方が実態に合うでしょう。
AIO・ブランド担当者が押さえるべき3つの示唆
1. クリックだけでなく「言及されたか」を計測する
従来のアクセス解析だけでは、AIの回答を見た後に時間を置いて訪問したユーザーを追い切れません。まずは、自社ブランドが重要な質問でどれくらい言及されるか、競合と比べてどの位置にいるかを継続的に計測する必要があります。
2. 業界ごとに優先するAI媒体を見極める
媒体別・業界別の上昇幅には差があります。すべてのAIに同じ工数を投じる前に、自社の顧客が利用する媒体、実際の言及率、言及後の指名検索やサイト訪問の変化を組み合わせて優先順位をつけるべきです。
3. 「露出・文脈・行動」の3層で評価する
ブランド名が出た回数だけでなく、どんな質問への回答で、どのような評価や引用元とともに紹介されたかを確認します。そのうえで、指名検索、ダイレクト流入、コンバージョンなどの行動指標を中長期で重ねて見ると、AI露出の価値をより立体的に判断できます。
AI回答に自社が登場したか
何と比較され、どう語られたか
指名検索や訪問につながったか
Next Action
AI検索で、自社ブランドがどう見えているか確認しませんか?
キャスクなら、ChatGPTやGoogle AI Overviewなどでのブランド言及率、引用元、競合との差を一つのダッシュボードで継続的に把握できます。
この調査を読むときの注意点
今回の結果は、AIによるブランド言及とその後のサイト訪問に明確な関連があることを示しています。一方で、因果関係を断定するには次の制約があります。
- ランダム化比較試験ではない:言及前の同一ユーザーの行動を使って補正していますが、観察できない選択バイアスを完全には除けません。
- 米国ユーザーのデータである:日本のユーザー行動や媒体シェアに、そのまま当てはまるとは限りません。
- 成果はサイト訪問まで:購入、問い合わせ、契約などのコンバージョンへの影響は検証していません。
- 個別ブランドの結果ではない:公開結果は媒体・業界単位であり、自社にも同じ上昇幅が出ることを保証するものではありません。
それでも、AI会話とその後の閲覧行動を同じユーザー単位でつないだ本調査は、クリック率だけでは捉えられなかったAI露出の影響を考えるうえで重要な材料です。
まとめ:AIでのブランド言及は、見えない訪問を生んでいる
Profoundの調査から読み取れるポイントは、次の4つです。
- AIが初めてブランドを紹介した後の7日間は、公式サイト訪問率が予測ベースラインの約1.5〜2.5倍になった。
- 効果の大きさはAI媒体と業界の組み合わせによって異なる。
- 最初の訪問の過半数は24時間より後に起き、AI起点と追跡できる訪問はごく一部だった。
- AIOの効果は、直接クリックだけでなく、AI上の露出・文脈・その後の指名行動を合わせて評価する必要がある。
AI回答に自社が登場することは、単なる「表示」では終わりません。すぐには計測できない形でも、ユーザーの記憶に残り、その後の検索や訪問を動かしている可能性があります。これからのブランド計測では、アクセス解析に加えて、AIが自社をいつ、どこで、どのように紹介しているかを継続的に把握することが欠かせなくなるでしょう。
参考文献
- Nikolas Laskaris, Profound, “The AI mention effect”, 2026年7月1日公開
Next Action
AI検索でのブランド可視性を、実データで確認しませんか?
キャスクなら、AI回答での露出率、引用元、競合比較を1つのダッシュボードで追跡できます。
Related
関連記事
AIOは不要?事例から見る影響と効果 | キャスク
生成AIからの流入やAI回答への引用がビジネスにどんな効果をもたらすか。国内外の事例とデータで、AIO(AI最適化)の実際の影響を解説します。
AI検索でサイト流入は減少した?事例を元に影響を解説 | キャスク
AI検索の普及でサイト流入は実際にどう変わったのか。AIOの観点も踏まえ、Pew Research、Ahrefs、Axios、Tow Center、Guardian、Chartbeat、PLAN-Bなどの事例を1つずつ見ながら、AI検索がSEOとサイト流入に与える影響を整理して解説します。
【AIO分析】AI検索結果を2.5ヶ月分分析してみた | キャスク
同一検索クエリのGoogle AI Overviewを約2.5か月にわたり定点観測。引用サイトがどれだけ入れ替わるのか、定番サイトと一過性サイトの違い、業界差をデータで解説します。